ゆーすPのインディーロック探訪

とあるPのインディーロック紹介ブログ。インディーからオルタナ、エレクトロ、ヒップホップまで。

コールドプレイが描く世界の今——Disc Review: Coldplay / Everyday Life (前編)

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どうもお久しぶりです。最近なかなか更新できませんでしたが、個人的に一段落つきまして、これからはちょこちょこ更新できると思いますので、どうぞよろしくお願いします。今回はコールドプレイの新譜Everyday Lifeのディスクレビューとなります。本作のテーマやモチーフのうち、特に個人的に興味のある点などについてダラダラ語っていこうと思います。ではでは。

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コラム: The 1975とSamuel Burgess Johnsonについての走り書き

世界がThe 1975に染まっている。ドバイでの騒動、サマソニでの圧倒的なパフォーマンス、突然のインダストリアルへの転向、レディングで垣間見せたThe 1975のネクストステージ。ここ数週間、ツイッターでThe 1975の文字を目にしない日はない。

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トムヨークと「夢」——Disc Review : Thom Yorke / Anima [Part.2]

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※[Part.1]はこちら

indiemusic.hatenadiary.jp

 

前回記事の続きです。今回は、Animaのプロモーション手法やアルバムタイトルの意味を考察した上で、トムヨークの「夢」に対する関心が何を意味しているのかを考えます。

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トムヨークと「Brexit」ーーDisc Review : Thom Yorke / Amina [Part.1]

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どうもゆーすPです。先日のフジロックでは、ホワイトステージのトリとして見事なパフォーマンスで観客を熱狂の渦に巻き込んだトムヨーク。今回は、そんなトムヨークのソロワークとして先月リリースされた新譜"Anima"のレビューをしたいと思います。

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フジロック雑記——Live Report : FUJI ROCK FESTIVAL 2019 DAY1 7/26

どうもゆーすPです。私事ですが、7/26にフジロックへ行ってまいりました。金曜日ながら、エルレ効果(はたまたトムヨーク効果?)でチケットは早くも完売。そのため大混雑を懸念していましたが、とりあえず自分が見たいアクトは全部見れたので安心でした。天気の方も、昨日はやばかったっぽいですが、金曜日は何とか持ちこたえてくれました。良かった良かった。

ということでフジロックで見たアクトの感想等をダラダラ書いていきたいと思います。なんだか自由に書いてたらジャネールモネイだけやたら長くなってしまったのですが、まあ細かいことは気にしない(笑)。では。

 

11:00 RED HOT CHILI PIPERS @GREEN STAGE

さて、初っ端はみんな大好きレッチリから。というかTwitter見てたら「エルレレッチリ楽しみ!」とか「朝一からレッチリ観れるなんて嘘みたい!」とか言ってる方々が結構いたんですが、本気で勘違いしちゃってませんかね…(笑)。彼らはいつ勘違いに気付いたのか…。(レッチリの演奏が終わり、ネットに上がったセトリを観て「ええ、カバー曲ばっかり!レッチリがAviciiとかカバーするんだ!」とかいう人がいるところまで予想。さすがにいない?笑)

ということでレッチリといっても「ぎぶいあうぇい」ではなく、スコットランドバグパイプバンドレッドホットチリ「パイパーズ」のほうです。バグパイプバンドといってもしっかりとしたロックバンドの編成を組んでいたのでかなりロックファン受けする内容になってました。個人的にはもっと全面的にバグパイプをフィーチャーした曲があってもいいと思うんですが。ただ朝一のグリーンを盛り上げるのにはこれ以上ないアクトでした。

 

14:50 KING GIZZARD & THE LIZARD WIZARD @WHITE STAGE

お次はオーストラリアのサイケロックバンド、キングリザード。正直そこまで人が入らないんじゃないかなぁ…なんて思っていたのですが、いざ蓋を開けたら満員の大盛況となっていました。なんでだろ(笑)。

ライブの方はごりっごりのメタル調でかましてくれました。ただあれだけの曲数をリリースしている人たちなのでいかんせん時間が足りない。もっとサイケ調の曲で聴きたい曲がいっぱいあるので、単独公演でぜひいらしてください。あの集客ならいける。

 

16:50 JANELLE MONAE @GREEN STAGE

ということで、個人的に今日一で楽しみにしていたジャネールモネイへ。昨年リリースされた新譜Dirty Computerが大好きだったので、非常に期待していました。水曜日に前もって行われた単独公演も客入りこそいまいちだったものの、圧倒的なパフォーマンスが大絶賛されていたので期待はうなぎのぼり。

さて、Crazy, Classic, Life、Screwed、Django Janeと初っ端新譜からの三曲を披露し、圧倒的貫禄を見せつけた彼女。特にScrewedでは、バックスクリーンに"I'M DIRTY I'M PRIDE"のメッセージが現れたかと思えば、ステージ中央の土台に玉座が出現し、そこに鎮座するといったような彼女の女王としての威厳を感じさせる演出にただただ圧倒されました。

The Electric Ladyからの曲が続いた中盤では、アフリカンミュージックをはじめとする音楽の歴史を感じさせる演出が光りました。プリンスからビヨンセはもちろんのこと、マイケルジャクソンやジェイムスブラウンをも思わせる射程の広さ。彼女が老若男女問わず愛される理由が垣間見れた気がしました。

再び新譜からの楽曲に戻りPynkを披露したジャネール。同楽曲は、女性器を模したジャネールの服装からも分かるように、女性やマイノリティの権利をテーマにしたものなのですが、一方で、彼女はピンクに希望を見出し、プッシーパワーの可能性をポジティブに歌い上げていたのが印象的でした。

最後に彼女は「私たちは、世界中の女性の権利のために戦い続けなければならない。LGBTを始め、セクシャル・マイノリティの権利のため、アメリカ合衆国で暮らす黒人たちの権利のために。そして、ワーキングクラスの人たちや、移民たちのために戦い続けなければならない」*1と力強いメッセージ。そのままTightropeへと流れ込んだ彼女でしたが、その表情は決して厳かなものではなく、とても笑顔で優しい顔をしていました。ここでのジャネールはカリスマ的アーティストとしてではなく、一人の地球に生きる市民として、メッセージを発していたのだと思います。だからこそ、私の胸に突き刺さるメッセージとパフォーマンスでした。また改めてDirty Computerを聴き込もう。

 

18:50 ELLEGARDEN @GREEN STAGE

そしてお次はみんなが待ち焦がれたエルレガーデン。もう最初っから最後までひたすら大好きだった曲をみんなで大合唱するという何物にも代えがたい経験をさせてくれました。Missingとかジターバグとか聴いたら号泣しちゃうんだろうな…って思ってたのですが、実際は超笑顔で飛び跳ねて大合唱してました。今回のエルレは確かに久しぶりなんだけれども、バンドは確かに前を向いていて。その意味で私もノスタルジック一辺倒にならずに済んだのだと思います。

にしても最近(というかここ5年レベルで)ほとんどエルレを聴いていなかったのだけど、案外歌詞とか覚えてるもんですね。やはり若いころに聞いていた曲はいつまでも覚えているものなんですかね。

 

22:00 THOM YORKE TOMORROW'S MODERN BOXES

前回こんな記事

indiemusic.hatenadiary.jp

 を書いておきながら、結局ケミカルを捨て、トムヨークの方にすべてをかけてしまいました(笑)。

さて、今回のトムヨークは新譜ANIMAを引っ提げてとのことで、ライブ全体のテーマもANIMAに通底するものでした。特に興味深かったのが過去作からのナンバー(特にThe Eraserからのナンバー)が新譜のモードに合わせてだいぶ変化を遂げていたこと。比較的ミニマルな印象が強かったThe Eraserの楽曲たちでしたが、今回のライブで有機的な身体性を獲得するに至ったのだと思います。

ダブルアンコールでのSuspiriumは深夜のホワイトにぴったりの楽曲でした。あれが現地で聴けたのは一生モノの経験かもしれません。トムヨークありがとう。

 

 

ということでざっと振り返ってみました。なんだかんだ言って最高の一日だったと思います。ただ、昨年もそうでしたがいい加減私の体力不足をどうにかしたい…KAYTRANADAもYaejiも見れなかったぞ…来年こそは深夜のレッドマーキーで踊り狂ってやる…。