ゆーすPのインディーロック探訪

とあるPのインディーロック紹介ブログ。インディーからオルタナ、エレクトロ、ヒップホップまで。

複数の理想と一つの現実ーDisc Review : Radiohead / In Rainbows

複数の理想と一つの現実
Disc Review : Radiohead / In Rainbows (2007)

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 "IT'S UP TO YOU"(すべてはあなた次第)ー2007年10月10日、レディオヘッドの公式ホームページ上に掲載された一文は瞬く間に話題を集め、多くのメディアによって取り上げられた。こうして発表されたレディオヘッドの七作目となるアルバム"In Rainbows"は、その販売形態の革新性に注目が集まりがちだが、その音楽性もまた、販売形態の革新性とリンクするメッセージ性を秘めている。"In Rainbows"のリリースから10年が経った今、改めてこのメッセージを考えてみたい。(本当は10月10日に投稿して『祝"In Raibows"10周年!!』みたいにする予定だったんですが…一か月以上の遅刻です……笑)

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過剰の美学が生んだ大団円ーLive Report : MUSE 2017 11/14 @横浜アリーナ

過剰の美学が生んだ大団円

Live Report : MUSE 2017 11/14 @横浜アリーナ

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ー「装飾、壮大、うぬぼれ、プログレッシヴ・ロック。それが現代の音楽の風景をだめにする4つの罪だ。そして、イギリスのテインマスでレコーディングされた苦悩のロッカーたちミューズのセカンドとなる『Origin Of Symmetry』は、その4つすべてにおいて有罪だ。」

これはかつてLouis Pattisoが"Origin of Symmetry"を評して述べた一文である。確かに現代におけるロックは、できるだけ装飾を削ぎ落とし、"クールであること"こそが美学とされてきた。2001年のThe Strokesの誕生に端緒をなしたロックンロールリバイバルはそうした傾向を推し進めたし、2000年代後半のインディーロックの興隆は壮大さや自惚れとはおよそ無縁のものであった。

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曲名に"November"が含まれている11月に聴きたい名曲10選

 

どうもゆーすPです。近頃グンと寒くなってきました。気づいたらもう11月なんですね。個人的にこの11月ってあれなんですよね、月の中で一番印象が薄い。(11月誕生日&11月好きの皆様すいません) なんだか大きなイベントもなく、それでいてこのひと月は過ぎるのが早い印象。今年もまた気づいたら12月になってそう。(11月に親を殺されたとかそんなことはないです。重ね重ね11月すいません) そんな11月をより彩りのある特徴的なものとするため、11月っぽい曲、はたまた"november"が曲名に含まれている曲を10曲選んでみました。ついでに曲のどこらへんが11月なのかも考えて見ました。ではでは。

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「希望」は「意志」へと変わっていくーDisc Review : LOCAL SOUND STYLE / HOPE

「希望」は「意志」へと変わっていく
Disc Review : LOCAL SOUND STYLE / HOPE (2009)

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 どうも、ゆーすPです。前回、久しぶりに邦楽の記事を書いていたら、邦楽アーティストの記事を描きたい欲が高まってしまった結果、今回も邦楽アーティストの記事です。しかしながら、私が好きな邦ロックバンドはその多くが解散してしまったせいもあって、最近はあまり邦楽を聴いていません。今回紹介するのもそんな残念ながらも解散してしまったバンドの一つである、LOCAL SOUND STYLEです。LOCAL SOUND STYLEとは、2007年に1stアルバムをリリースしながら残念ながらも2011年には早くも無期限の活動休止を発表した青森出身のポップパンクバンド。そんな彼らの2ndアルバムであり個人的に非常にお気に入りの一枚、"HOPE"を紹介します。

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優しくて暖かい、愛の歌ーDisc Review : 豊崎愛生 / Love letters

優しくて暖かい、愛の歌
Disc Review : 豊崎愛生 / Love letters (2013)

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 昨晩、ツイッターのトレンドに懐かしい人物の名前が。はい、そうです。豊崎愛生さんです。この度ご結婚を発表されたのことで、ツイッターではその話題で持ちきりでした笑。しかしながら、彼女の紹介で言及されるのは「けいおん」の声優であることと「スフィア」のメンバーであることばかりで、あまり彼女のソロアーティストとしての音楽活動には言及されていませんでした。素晴らしいソロ作品が多いのにそれらスルーするのは非常に勿体無い!と言うことで、今日はそんな彼女のアルバムから。ちょっと昔の作品ですが、そんな彼女の2ndアルバム"Love letters"を紹介します。

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"Colors"のすべてーLive Report : Beck 2017 10/24 @ 新木場スタジオコースト

"Colors"のすべて
Live Report : Beck 2017 10/24 @ 新木場スタジオコースト

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 まさにベックの20年のすべてが詰まった一夜だった。"Devil's Haircut"で幕を開けたライブは、続いて"Black Tambourine"や"Think I'm in Love"、"Mixed Bizness"など、往年の名作からのリードナンバーを矢継ぎ早にプレイ。さらにデジタル配信限定であった隠れた名曲"Timebomb"を披露というサプライズを挟んで会場のボルテージを一気に上げたところでライブは中盤へ。ここでは"Que' Onda Guero" や"Go It Alone"といったアルバム"Guero"からのミディアムテンポのブルージーなナンバー、さらに"Lost Cause"や"Heart Is a Drum"といったアコースティックでスローテンポで組み立てられたナンバーが続く。そして終盤、ここで遂に新譜からの新曲群を次々と披露。この位置に新曲群を持ってきたということからは、新譜へのただならぬ自信を感じさせる。カラフルなVJと飛び切りポップな楽曲が溢れたこの終盤後は、"Loser"、"E-Pro"、"Where It's At"というベックの代表曲を三連打。正味1時間半ほどの公演であったが、非常に密度の濃い時間であった。

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「2017年」に鳴らされるべきモダンポップ ーDisc Review : Beck / Colors (2017)

「2017年」に鳴らされるべきモダンポップ
Disc Review : Beck / Colors (2017)

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Beckって一言で言ってどんなアーティスト?

 この問いに答えるのはいささか簡単ではない。ヒットのきっかけとなったシングル"Loser"で「僕は負け犬だ」というオルタナ然とした自虐精神を表出させていたかと思えば、続く1996年発表の4thアルバム"Odelay"ではヒップホップにブルース、R&B等多種多様なジャンルを混成しオルタナティブロックに思いっきり噛み付く。2002年の"Sea Change"や2014年の"Morning Phase"で優しいアコースティックな音像を響かせる一方で、2005年の"Guero"や2008年の"Modern Guilt"ではポップなメロディーセンスを光らせる。こうした多種多様な側面こそがベックの特徴であり、そう考えると、乱暴に言ってしまえば、冒頭の質問に対する答えは「一言では表わせない」が正解と言ってしまってもいいかもしれない。

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