ゆーすPのインディーロック探訪

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ただ、The 1975が最高だったという話。——Live Report:SUMMER SONIC 2022 DAY1 8/20

ということで、前回

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のソニマニ雑記の続きです。6時就寝10時起床に何とか成功し、そのまま再び海浜幕張へ向かった私でしたが、とにかく人が多く、何をするのにも超行列な状況にだいぶ参ってしまい、会場の端っこでぶっ倒れておりました。。

もともとどうしても見たい!というようなアクトがThe 1975以外なく(BeabadoobeeとSquidは見たかったですが…)、一緒に行った友人にくっついていく形で、ソニックステージに張り付いておりました。Awesome City Club、Vaundy、Aimerと観ていましたが、Vaundyの人気にはびっくり。知らぬ間に入場規制になっていたようで、ソニックステージの外まで人が溢れておりました。その後のAimerでは、最近ハマっていたカタオモイを聴けたので良かったです。

さて、なんやかんやで18:00頃にマリンスタジアムにやってきたのですが、いやはやすごい人。久しぶりにこんな超満員のマリンを観た気がします。King Gnuのパフォーマンスの真っ只中だったのですが、私のHPはもうゼロで、かなり上の階のスタンド席に座れたもんだから爆睡してしまっておりました…体力に余裕があるときにもう一回きちんと観たかった…。

さて、King Gnuが終わると私は早速アリーナへ。King Gnuの時にあまりに激混みだったので、The 1975も激混みでアリーナに入れないんじゃないか…と恐れていましたが全くの杞憂でしたね。いざKing Gnuが終われば一気に人は減り、アリーナ前方まですんなり行けました。嬉しいのか悲しいのかなんとやら…ということで…

 

19:30 The 1975 @MARINE STAGE

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ついに待ち望んだThe 1975のライブがスタート。バンドとしても2020年以来の約2年ぶりとなるライブであり、新作のリリースを10月に控え、セットリストやステージング等全く予想がつかない中でのライブであった。

一曲目はなんとIf  You're Too Shy (Let Me Know)。メンバーはスーツ姿に身を包み、バックスクリーンにはモノクロでメンバーの姿が映し出される。華々しかった前回のサマソニとは対照的な、実にシンプルなステージングだ。

If You're Too Shyが終わるとお次は過去作からの代表曲を矢継ぎ早に披露。2ndアルバムLove Meときて、意外にもこの位置で1stアルバムよりChocolateをプレイ。Chocolateを聴くと、The 1975が初出場したサマソニ2013、ソニックステージのオープニングアクトで彼らを見たことを思い出す。あれから9年でヘッドライナーへと上り詰めたのだから彼らの成長ぶりには本当に感嘆する。

その後のMe & You Together Songの際には音響トラブルが発生してしまい、AC/DC事件(フジロックVWの音響トラブル)が脳裏によぎりかなりヒヤッとしたが、次のTOOTIME~以降は全く問題なくライブは進行。とはいってもMe & You~は好きな曲なので次の単独の際にはリベンジしたいところ。

さて、TOOTIME~の次に披露したのがIt's Not Living (If It's Not With You)。ここが個人的には一つのピークタイムであった。久々のライブで少し緊張していたように見えたメンバーたちも、ここで自信というか、ライブのペースをがっちりと掴んだような気がする。

ライブは中盤へと突入し、少しテンポを落とした楽曲が続く。ParisやA Change of Heart、Rubbers、このあたりの楽曲は、もしロングセットではなく65分セットだったら演ってくれなかったような気もするので、ロングセットとなってこれらを聴くことができて本当に良かった。

そして、Somebody Elseを挟んで、Love It If We Made Itへ。この曲はリリース当時、他でもない2018年に聴くことに意味のある曲だと散々言っていたのだが、今回改めてニューモードのThe 1975で本楽曲を聴いて、その考えを改めざるを得なかった。社会的なテーマを扱い、様々な固有名詞が歌われる楽曲ではあるものの、だからと言って本楽曲が持つメッセージの普遍性は決して損なわれるものではない。あくまでも、「何かを成し遂げることは素晴らしい」というポジティブさが大切なことには変わりがないのである。

以前のツアーではオープナーであったPeopleを挟み、アコギの音が美しいI Always Wanna Die (Sometimes)へ。スタジアムはスマホのライトで照らされ、幻想的な空間となっていた。個人的には3rdアルバムで一番好きな曲であるので聴けて良かった。そして、いつものThe Sound、Sexを挟み、ラストは何とGive Yourself a Try。前回のサマソニのオープニングトラックであったが、今回はラストトラックとなった。

 

"Won't you give yourself a try"——ちょっトライしてみないかい、とマシューは歌う。思えば、近代という大きな物語の解体に取り組んだ"A Brief Inquiry Into Online Relationships"においてもなお、彼らはそうだった。The 1975は、もはや大文字の理想や夢を信じることができない世界に生きる我々の背中をほんの少し押してくれる。「何かを成し遂げることは素晴らしい」(Love It If We Made It)し、「生き延びれないなら、挑戦するだけでいい」(I Always Wanna Die (Sometimes))。どうしようもない世の中だからこそ、そんなポジティブさが心に刺さる。

「何を成し遂げたか」ばかりが求められる世の中にあって、The 1975の音楽には、何かを成し遂げようとする自分を肯定してくれる希望がある。そんな希望を、あの時、あの場所で、たくさんの人たちと共有できたことが何よりの幸せだ。

 

ということで、また会いましょう、The 1975。

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