以前アラブ音楽に関する記事を書いたのですが、今回は特にヨルダンのインディーロックに注目して10曲紹介したいと思います。
何気にこのシリーズも三弾目。海外に行くことのできない今だからこそ、音楽で海外を感じて脳内海外旅行を楽しみましょう。そもそもヨルダン?どこそれ?って方も、旅行できたとして別にヨルダンには行かんわって方も、とりあえず音楽だけでも聴いていってくれたら嬉しいです。ではでは。
※過去記事
・アラブ音楽①(パレスチナ・ヒップホップ中心)
・アラブ音楽②(エジプト・ロック等)
・タイ(インディーロック)
※アルファベット[アーティスト名/曲名]、アラビア語[曲名/アーティスト名]
1. Autostrad / Ana Bukra M3atel (أوتوستراد / أنا بكرا معطل)
ロックミュージックを基盤に、レゲエやラテンミュージック、ファンクなど、インターナショナルな音楽的要素をごった混ぜにしたサウンドが特徴的なAutostradの一曲。サビの楽しげなメロディーに身を任せて踊るが吉。
2. Akher Zapheer / Feekee (اخر زفير /فيكي)
NirvanaやRadioheadからの影響を公言しているヨルダンが誇るオルタナティブロックバンドAkher Zapheerの一曲。ベンズ期のRadioheadを思わせる物憂げなギターリフとリズミカルなメロディーの組み合わせがクセになる。同曲収録のアルバムConverse Cultureは他にもAkherto Lahen Hazeen等名曲が多数。
3. JadaL / Ghabeh B'eed (جدل / غابه بعيد)
アラブ音楽界の伝説的存在アブドゥルハリムハーフェズをロック風にアレンジカバーしたAl Tobahが話題となって以降、国民的バンドとして「ヨルダンにおける最も優れたアラビックロックバンドの一つ」と称されるほどの存在となったJadaLの一曲。欧米のロックミュージックとアラブ音楽を見事に溶け合わせたこれぞアラビックロックなナンバー。
4. Hayajan / Ya 7Weneh (هيجان / يا حوينة)
手拍子のリズムと透き通るギターの音色にはじまり、徐々にダイナミックになっていく曲展開が見事。とにかく美しい音が満載の良質なインディーポップ。同曲収録のアルバムにはRadiohead“Nude"、Pink Floyd"Comfortably Numb"のアラビア語カバーが収録されており、こちらも美しいサウンドとアラビア語の新鮮さが絶妙なので是非。
5. Yazan Haifawi / Aman Aman (يزن حيفاوي / آمان آمان)
スペインやギリシャなどヨーロッパのフェスにも数多く出演する実力派シンガーYazan Haifawiによるストレートなアコースティックナンバー。ストリングスの美しい響きがアラブの広大な自然を思わせる。サビのAman Aman~は耳に残る普遍的なグッドメロディ。
6. El Morabba3 / Asheek (المربع / ع الشيك)
2009年にアンマンで結成されたオルタナティブロックバンドEl Morabba3のデビューアルバムのオープニングナンバー。浮遊感のあるギターとコーラスに、ポップなメロディーが乗る一曲。ちなみに冒頭のアコースティックギターのリフはBelle and Sebastianの名曲Judy and the Dream of Horsesから取られている。
7. Ayloul / Nazel Al Ghor (أيلول / نازل عالغور)
シリアとの国境近くの街イルビドで結成された6人組バンドAyloul。パレスチナ、シリアからの難民が多いイルビドの社会的状況を反映した政治的・社会的メッセージを多分に含む歌詞が特徴で、「Al Ghor=ヨルダン渓谷」について歌ったこのNazel Al Ghorもその例外ではない*1。1番のフェイバリットにピンクフロイドを挙げる彼らの音楽は、オリエンタルな雰囲気とインディーロックのクールな佇まいが見事に同居する。
8. Zaed Naes / El Ginena feat. Maii Waleed
個人的に激推ししたいZaed Naesの一曲。ジャズ、トリップホップ、エレクトロニカ、ポストロックが結実する様は、圧巻の一言。James Blake~The xxを通過した精緻で静謐なエレクトロがMaii Waleedのヴォーカルに見事にマッチ。アートワークやPVも含め、洗練された世界観を彩るヴィジュアルイメージにも要注目。
9. Albaitil Ashwai / Sindibad (البيت العشوائي / سندباد)
スーフィー(イスラーム神秘主義の修行者・担い手)の文化的・音楽的影響を強く受け、自身を「ネオ・スーフィズムバンド」と自称するAlbaitil Ashwaiの一曲。その幾何学的なアートワーク、ルーミーの影響を受けた詩はスーフィーの影響を思わせるが、それらが見事にインディーロック、フォークなどの欧米の現行シーンのサウンドと調和している。
10. 47SOUL / Intro To Shamstep
「シャムステップ」という中東の音楽シーンを圧巻した一ジャンルの火付け役となったエレクトログループ47SOULの大ヒットシングル。シャーム(大シリア)とダブステップからなる造語であるシャムステップは、レバントの伝統的なダブケという民俗芸能を現代のエレクトロミュージックで再解釈したダンスミュージックで、この一曲はアラブ世界に大きな衝撃を持って迎えられることとなった。(「インディーロック」からはやや外れてしまったかもしれませんが…ご容赦ください。。)
ということで10曲紹介させていただきました。次はトルコかギリシャかそのあたりを取り上げたいと思ってます。ではでは。