ゆーすPのインディーロック探訪

とあるPのインディーロック紹介ブログ。インディーからオルタナ、エレクトロ、ヒップホップまで。

現実と夢の狭間ーLive Report : My Bloody Valentine 2018/08/15@豊洲PIT

現実と夢の狭間

ライブレポート : My Bloody Valentine 2018/08/15@豊洲PIT

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「公演は大変大きな音量で行われますので耳栓を一人一個お持ち下さい!」
会場に入るとまず聞こえてくるのがそんなスタッフの声。

音楽を聴きに来たのに耳栓?

何も知らない人が聞けば、おかしな話だと思うだろう。だって、ここはライブハウスであって、音楽を聴きに集まる場所だと言うのに。
だが、今日はMy Bloody Valentineのライブだ。彼らのライブにおいては耳栓が配られることが恒例になっている。それほどに彼らの演奏は爆音で、轟音だと言うことだ。

ライブが始まる前の緊張感も、いつもとは別の種類のそれだった。楽しみ半分、不安半分。轟音で私の耳はどうなってしまうのだろうか、爆音で三半規管とかがやられないだろうか、みたいな*1

 

ライブは正味2時間ほど。ラブレスからのナンバーはもちろん、初期のEPからの楽曲やmbvからのナンバー、さらには新曲までもが披露され、非常に濃密な時間であった。
確かに、マイブラというとまずもって注目を集めるのはそのフィードバックノイズであり、シューゲイザーの代表としての側面だろう。もちろんそうした側面はマイブラの重要な一面だが、そうしたノイジーアブストラクトな側面だけでなく、耳を捉えてはなさいポップネスの要素、耽美なメロディーラインといったマイブラの一側面を見逃してはならない。終わることのない轟音の中で浮かんでは沈んでいく、ノイズの海の中で時折姿を見せる、そんな美しいメロディー。これこそが、マイブラがここまでのポピュラリティーを獲得できるに至った大事な要素なんだと思う。こうした耽美なメロディーは特にラブレスからのナンバー、When You Sleep、To Here Know Whenなどに顕著であった。
一方でロックバンドとしてのマイブラの側面も忘れてはならない。Isn't Anythingからの楽曲、特にFeed Me With Your Kissなどでは、力強いドラミングに疾走感のあるギターが見事に決まっていた。

バックスクリーンに映し出された映像は、抽象的で幾何学的なものが主であったが、時折揺れる木々や、海を模したような風景が映し出されていた。基本的には特に意味を持たないようなアブストラクトな映像が続いているだけなのだが、やはり時折具体的というか、我々の現実世界との接点を感じられるようなものが見られたのである。

この映像は、まさに上述したマイブラの音楽的特徴ーー抽象度の高いノイジーな音像の一方で時折みせるポップネスーーに一致しているように思う。その意味で、マイブラの音楽は「現実と夢の狭間」にある。音楽にしろ映像にしろ、マイブラのイメージとしては、やはり別世界に連れていってくれるような超現世的、非現実的、ドリーミーなイメージが強い。しかしながら、マイブラの世界は、時折ふっと現実の世界を映し出す。幻の、夢の大海で溺れながら、ふと、現実が顔を出す。そして、顔を出したと思ったらまたすぐに消えていく。こうして、私たちは形のない現実と夢の間を揺れ動く。そうしているうちに、気づいたら他の何でもない「マイブラの世界」にどっぷりと浸かっているのである。

 

ということで、マイブラ単独のライブレポートでした*2サマソニ行きの電車の中で超速で書いたので誤字等はお許しを。。さて、今日はサマソニDAY1。参加される皆様、楽しみましょう。

*1:ライブ見に来てそんなこと思っているのは果たしてどうなんだ…?

*2:昨日のソニマニも半分くらい見てましたが流石の轟音でしたね…。