ゆーすPのインディーロック探訪

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ゆーすPが選ぶエレクトロニカの名曲10選

 なんと来月、9/20にTelefon Tel Avivの来日公演が決定しました。Telefon Tel Avivと言えば、その1stアルバム"Fahrenheit Fair Enough"はまさにエレクトロニカの金字塔と呼ばれ、今日までシーンに多大な影響を与え続けています。ということでそんなTelefon Tel Avivの来日を記念して今回はエレクトロニカシーンの名曲を10曲ほど紹介したいと思います。

 とは言っても"エレクトロニカ"という語はあまりにも曖昧で、その定義も人によってまちまちです。広義では、電子音楽全般を指すこともあるそうですが、ここではIDMの影響を受けた、あくまでも踊ることを目的としたクラブミュージックではなく「聴くためのダンスミュージック」と言ったらいいのでしょうか、そんなエレクトロ・リスニング・ミュージック、ブレインダンシング、IDMといったジャンルの総称として扱いたいと思います。まぁ、聴いて頂ければなんとなく雰囲気は分かるはず。一応今回はTelefon Tel Aviv来日記念(勝手に)と銘打っているのでTelefon Tel Avivに近いイメージの曲を集めました。そのためここでは極端なアンビエント系やオウテカAphex Twinのような複雑なブレイクビーツを多用するようなIDMは扱わず、比較的はじめてエレクトロニカを聴く人にも聴きやすいものを中心としました。エレクトロニカミュージックってどんな感じ?Telefon Tel Avivは知ってるけど他にオススメは?って方にオススメです。

 

1. Oval / Ah!

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まさに『クリック、グリッチカットアップ、すべてのエレクトロニカ手法の産みの親』(某サンシャイン風)であるドイツのテクノユニットオヴァルの一曲。 彼らはこれらの手法の発見に多大な貢献をし、2000年以降のエレクトロニカシーンの興隆に強い影響を与えたまさにエレクトロニカミュージックにおける始祖的な存在です。初期の彼らの音楽はアンビエント的な要素が色濃く少し聴きづらい点がありますが、この9年ぶりとなった復帰作からの一曲"Ah!"はどこか暖かみのあるサウンドが特徴となっています。

 

2. Fennesz / Caecilia

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エレクトロニカにおいて主流となる生楽器を取り入れたスタイルの嚆矢となった音響/エレクトロニカの大名盤としての評価が高いアルバム"Endless Summer"からの一曲。このアルバムで彼はグリッチの中にアコースティックギターの音を取り入れフォークトロニカと呼ばれるジャンルを作り上げました。エレクトロニカでアルバムを一枚選べと言われたら私は迷わずこの"Endless Summer"を選択します。グリッチやノイズに溺れそうになりながら、ふとメロディが、アコースティックギターが、浮かんではまた埋もれていく…そんな浮遊感の中に身をゆだねるこの感覚はまさにこのアルバムでしか味わえない感覚です。ちなみにこのクリスチャン・フェネスは坂本龍一氏との共作で2枚のアルバムをリリースしています。

 

3. Mum / When Girls Collide

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こちらもフェネス同様生楽器を取り入れたスタイルで活動するMúm。アイスランドレイキャビク出身ということもあってビョークシガー・ロスとの親交も深いそうで。このムーム、初期のサウンドは非常に幻想的でドリーミーなのですが4thアルバム"Go Go Smear the Poison Ivy"以降はどこか可愛らしい、いわゆるトイポップ的な作品となっています。そんな後期ムームの楽曲からの一曲、"When Girls Collide"をチョイスしました。

 

4. I am robot and proud / The Work

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あのペンギンジャケットでおなじみのアルバム"The Electricity in Your House Wants to Sing"より彼の代表曲"The Work"。トロント在住の中国人アーティストである彼はキュートな電子音とアコースティックなサウンドを志向し、同アルバムで一躍シーンの中心へと躍り出ました。あくまでも電子音を基調としているのにもかかわらずそこにトイポップ的な、可愛らしい音を溶け込ませることでそんな電子音に暖かみを与えています。

 

5. Four Tet / Sing

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エレクトロニカシーンのみならず、テクノ、ジャズ、ヒップホップ等多様なシーンで活躍するフォーテット。彼はThe xxやRadioheadBloc Party等、リミキサーとしても多面で活躍していますが、オリジナル作品も非常に人気が高く、エレクトロニカシーンとしては異例のチャートアクションを推移しており知名度では明らかに頭一つ抜けています。こちらはそんな中でも傑作との呼び声が高いアルバム"There is Love in You"よりミニマルで独特のポップ感が特徴の"Sing"。ジャケット写真のようなカラフルな音像が非常に心地良い。

 

6. Boards of Canada / Roygbiv

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スコットランド出身のデュオである彼らのWARPレコードからのデビューアルバム"Music Has the Right to Children"からの一曲。ヒップホップ的なブレイクビーツに儚く浮遊感のあるメロディが重なる彼らの音楽はエレクトロニカの可能性を大幅に広げました。そんななかでもどこか懐かしさを感じさせるノイジーサイケデリックさもこの作品の魅力です。この作品のほかにも、アルバムはもちろん、EPにも名曲多いので色々探ってみては。

 

7. Nathan Fake / Stops

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こちらは若干22歳にして世界のトッププロデューサーの仲間入りを果たしたNathan Fakeのファーストアルバム"Drowning in a Sea of Love"のオープニングナンバー。彼と言えば2004年にリリースされ大ヒットシングルとなった"The Sky Was Pink"が有名ですが、この"Steps"はそんな広大なイメージのある"The Sky Was Pink"とはうってかわってミニマルでポップ感あふれるサウンドで、一方人間の吐息にも聞こえる音が挟まれどこか緊張感を与えています。

 

8. The Album Leaf / Another Day

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ブレイクビーツアコースティックギターやキーボード等の生楽器が見事に交じり合う彼らの3rdアルバム"In A Safe Place"より"Another Day"。このアルバム自体Sigur Rosのスタジオで収録したこともあって、Sigur Rosの影響を感じられます。

 

9. Squarepusher / Iambic 9 Poetry

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WARPを代表するミュージシャンの一人であり、唯一無二のドラムンベースサウンドでエレクトロシーンを代表する人物であるSquarepusher。そんな彼の普段のゴリゴリのエレクトロサウンドとは一転、この"Iambic 9 Poetry"では非常に洗練された美しいメロディが乾いたスネアドラムとあいまって儚くも壊れそうな雰囲気を醸し出しています。

 

10. Telefon Tel AvivFahrenheit Fair Enough

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ということで最後はそんなTelefon Tel Avivのファーストアルバムから"Fahrenheit Fair Enough"。どこか耽美なメロディーに浮遊感のあるエフェクトとグリッチノイズがバランスよく融合する様は圧巻です。同アルバムは長い間廃盤となっており入手困難となっていましたが、昨年再発されています。

 

ということで10曲エレクトロニカの個人的名曲を紹介しました。いやはや10曲では全然紹介しきれませんね…また第二弾とかやるかもしれないです。ちなみに暑い夏にエレクトロニカ聴くと気分少し涼しくなるのでおすすめです。気になったらぜひいろいろと聴いてみてください。そしてTelefon Tel Avivの来日も是非。