ゆーすPのインディーロック探訪

とあるPのインディーロック紹介ブログ。インディーからオルタナ、エレクトロ、ヒップホップまで。

2017年上半期ベストトラック10選 : TOP 10 TRACKS OF 2017 (JAN-JUNE) Part.2

なんだか雨の日が続きますね、そんな雨の日を乗り越える必殺技「トラヴィスの"Why Does It Always Rain on Me"」も濫用してしまった私にはもう効かなくなってきました。新たな雨の日を乗り切れる必殺技を募集します。以下、前回の記事の続きです。2017年上半期の個人的名曲6曲目から10曲目まで。

・Los Campesinos! / Renato Dall'Ara (2008)

一瞬の享楽を求める3分ポップの理想形


Los Campesinos! - Renato Dall'Ara

 イギリスカーディフの男女混合インディーポップバンド、通称"ロスキャン"の6作目となるアルバムからオープニングを飾る一曲。インディーポップとしてのデビュー時の面影はもはや失われたTwo Door Cinema Clubに、解散してしまったTeam Me、さらに活動を長らく休止しているFriendly Firesー彼らなき今、踊れて享楽的なインディーポップを担うバンドは、シリアスな音楽が溢れかえる昨今、希少な存在となっている。大学生の時にデビューした彼らの、その当初に比べれば歌詞がいくらか社会的になったり等の変化は見られるが、カラフルな男女混合のボーカルが織りなす音像と祝祭感のあるキラキラしたサウンドは健在。息の詰まる現代社会の封鎖的雰囲気に風穴を開けてくれるロスキャンのサウンドは、当たり前のことながら忘れられがちな音の楽しさを思い起こさせてくれる。

 

・The National / The System Only Dreams in Total Darkness

"インディーの良心"が贈る飾らない美しさ

 今年9月に4年ぶりのニューアルバム"Sleep Well Beast"をリリースすることが決定しているThe Nationalの同作品からの先行シングル。本曲でもThe Nationalらしさは健在で、重層的で深みのあるサウンドを聴かせてくれる。思えばThe Nationalはいつもそうだ。USインディーシーンの核となる音楽を提供した傑作、"Boxer"や"High Violet"からこの曲までずっと、一貫したサウンドアプローチが彼らにはある。マット・バーニンジャーの低く呟くようなボーカルに叙情的なメロディーラインが合わさり、希望の光を運んでくる。一見するとかなり地味で、革新的な試みがあるわけでもなく、初聴のときにはともすれば聞き流してしまうかも知れない。けど、僕らの気持ちに寄り添う音楽って、案外そんなもんじゃないか。日々変わりゆく世界に疲れてしまったら、新しさが正しさだという奴がいたら、The Nationalの曲を聴くといい。彼らの音楽は、変わらない君に寄り添い続けてくれるだろう。
 

・Shobaleader One / Journey To Reedham

超絶技巧最強集団のメタモルフォーゼ


Shobaleader One - Journey to Reedham

 やばい。これはやばい。普段音楽を聴いてやばいとか言わない私ですら(?)これを聴いた時にはやばい以外形容しようが無かった。Shobaleader OneはSquarepusher率いる謎の覆面バンドという設定で、Squarepusherの初期曲をなんと完全に人力で、バンド編成で演奏してしまおうという超絶技巧集団だ。Squarepusherの複雑怪奇なビートがまさか本当に人力で再現できるのか、聴く前は正直絶対無理だと思ってたのに。いやはや本当に驚きだ。そんな彼らの試みはアルバムとして結晶化、その中でもやはり最も印象に残ったのが、Squarepusherの代表曲でありドラムンベースの名を世界に知らしめることとなった名曲"Journey To Reedham"だ。この曲を初めて聴いた時のあの衝撃を蘇らせてくれるこのShobaleader Oneとしての"Journey To Reedham"は懐かしさよりも力強さが感じられ、名曲の、また違った一面を提供してくれるのだ。
 

Slowdive / Star Roving

※コメントは以下過去記事参照
 

Four Tet (The xx) / A Violent Noise (Remix)

 最後はFour Tetによる今年リリースされたThe xxの最新アルバムから"A Violent Noise"のリミックス。最近のFour Tetのオリジナル曲はあまり評価がよろしくありませんが、このリミックスは秀逸。徐々に盛り上げるピークタイムまでの持って行きかたといい、The xxのリフの使い方といいFour Tetのセンスの良さに脱帽です。
 
……
と言うことで10曲選ばせていただきました。今年は様々なジャンルでいい曲がたくさんリリースされており、この10曲もヒップホップ、R&B、エレクトロ、ロックと多様なジャンルの曲を選べたんじゃないかなって思ってます。と言うことで、次はアルバム編だ〜〜