ゆーすPのインディーロック探訪

とあるPのインディーロック紹介ブログ。インディーからオルタナ、エレクトロ、ヒップホップまで。

2017年上半期個人的良曲10選(その1)

 皆さま、いかがお過ごしでしょうか。6月の終わりは一方で梅雨の始まりでもあるわけですが、一方で一年の半分が過ぎたということでもあります。ーということで、ここでは2017年の上半期にリリースされた新譜の中で個人的お気に入りの曲・アルバムをそれぞれ10曲・10枚づつ紹介したいと思います。それでは、今回は曲の方から。(*以下五十音順となっており、ランキングはつけておりません。)

 
・The Big Moon / Silent Movie Susie
90年代的アプローチで探る、10年代以降のあり方


The Big Moon - Silent Movie Susie (Official Audio)

 まずは、ロンドン発4人組ガールズバンドのデビューアルバムからの一曲。近年のロンドンのロックシーンの動向は、イギリスのグライムシーンやポップシーンとアメリカのヒップホップ/R&Bの興隆に隠れて忘れられていましたが、映画『トレインスポッティング T2』にてOSTを担当したFat White FamilyやHigh Contrast等々、まだ小さな芽の段階ではありますが、しかし着実にその息吹を感じさせます。その一翼を担う彼女たちのバンド名やPVは、一見無骨な印象を感じられ、ある意味時代錯誤であるように思うのですが、一方で"ジャンルの細分化と分断化を乗り越えようとする"という点では、2017年に相応しい意味を持ち合わせています。"Silent Movie Susie"は、そんな彼女らのポップネスも、無骨なグランジズムも、さらに陽気なコーラスが彩るロックのダイナミズムをも内包した、"インディー以降"に相応しい一曲だ。
(※正確にはシングルが2016年にリリースされていましたね…やってしまった…アルバムリリースが今年なのでここはどこか大目に(笑))
 
・Calvin Harris / Slide feat. Frank Ocean & Migos
EDMの王による、あまりに、あまりに衝撃的転回

www.youtube.com

 Calvin Harrisといえば、世界で最も成功したDJの一人であり、"Summer"や"We Found Love"に代表されるあくまでも正当なEDMを鳴らすDJの一人、でありますが、まぁインディーミュージックを聴きやPitchforkなんかを閲覧してるような私には全くの無縁の存在でした。このSlideを聴くまでは。
 現在主流のヒップホップ/R&Bシーンにおけるそれぞれの代表選手MigosとFrank Oceanを迎えた本楽曲は、まさに2017年の各ジャンルのエッセンスのいいとこ取り。EDM後のエレクトロのあり方を模索したCalvin Harrisは、アンビエントR&Bによってその美的価値を生み出したFrank Oceanの"Blonde"にそのヒントを見出し、それを2017年のシーンを代表するまさに時代の音の寵児であるMigosを迎え、2017年を代表する音を生み出したのです。私にとってはこのCalvin Harrisの音楽的転回は非常に衝撃的だったのですが、今改めて"Summer"以降の彼の楽曲を聴くと、ちゃんとSlideに至る伏線はあったのだなと少し納得。彼の"時代の音"に対するこの抜群の嗅覚には本当に驚かされるばかりです。
 
・Girlpool / It Gets More Blue


Girlpool - It Gets More Blue

※コメントはこちら過去記事参考
Juana Molina / Sin Dones
"フアナモリーナ入門"として


Juana Molina - Sin Dones 

 "アルゼンチンの音響派"とか、相対性理論とジョイントライブとか(は別にいいか)の前情報のせいで、難解なのかなぁと敬遠してる人が多い気がする。かくゆう私もその一人でした。しかし、今年リリースの"Halo"は過去作である"Wed21"や"Son"と比べてとっつきやすく、特に"Halo"からのシングル"Sin Dones"はリズミカルでキャッチーだ。しかしながら彼女の持つ独特で不思議な世界観は健在で、ジャケット写真もインパクト強し。フアナ・モリーナ入門としてまずは"Halo"から、まずは"Sin Dones"から、聴いてみるのをお勧めしたい。

 
・Kendrick Lamar / DNA.
批判に真っ向から立ち向かう孤独なラップスター

www.youtube.com

 ケンドリックについては、別記事で書きたいところではありますが、取り敢えずはアルバム"DAMN."収録の"DNA."を紹介。前作で名実共に音楽シーンのトップに君臨したケンドリックの2年ぶりのアルバムがこの"DAMN."なわけですが、このアルバムは、To Pimp A Butterflyがアルバムとして非常にコンセプチュアルであったのと対照的に、一曲一曲の独立性が非常に強く、その点、曲単位のレヴューの有効性を提示してくれます。"sex, money, murder our DNA"と歌う"DNA"は、そんなケンドリックの怒りが込められたナンバーだ。 この曲のPVでは、ドン・チルールがケンドリックラマーを取り調べし、「DNAは何の略だ?Dead Nigger Asociationだよ」という台詞を吐き出すシーンから始まる。"DNA."は、FOXニュースでの批判に対する真っ向からの怒りなのである。
 
 
とここまで5曲紹介してきましたが、少し長くなってしまったので、あと5曲はまた後日別記事にて。