ゆーすPのインディーロック探訪

とあるPのインディーロック紹介ブログ。インディーからオルタナ、エレクトロ、ヒップホップまで。

"EDMの象徴"によるファンクへの転回が意味するものーDisc Review : Calvin Harris / Funk Wav Bounces : Vo.1

"EDMの象徴"によるファンクへの転回が意味するもの
Disc Review : Calvin Harris / Funk Wav Bounces : Vo.1 (2017)

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 確かに私は、サマソニにカルヴィンハリスがヘッドライナーとして出演することが決まった時、なんだカルヴィンハリスか。と肩を落とした。昨年コーチェラのトリで出演さえしたが、EDMの時代はもう終わったというのに、と思った。"Ready for the Weekend"は好きだったが、その後の"18 Months"を経て"Summer"による完全に流行りに乗じたEDMへの転向、さらには"This Is What You Came for"でのトロピカルハウスブームへの便乗。なんだか私はこの流行への執着があまり好きになれなかったのだ。しかし、こうした私のカルヴィンハリスに対する認識は間違っていたと認めざるを得ない。全てがこの傑作"Funk Wav Bounces : Vo.1"に帰結した、とするのは少し言い過ぎだろうが、間違いなく、これらはこの傑作への布石であった。

「分断した社会」を乗り越えるためにーDisc Review : Broken Social Scene / Hug of Thunder

「分断した社会」を乗り越えるために
Disc Review : Broken Social Scene / Hug of Thunder (2017)

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 このカナダのスーパーグループバンドがバンド名に"Broken Social Scene"という名前を付けたのは、まさに運命だったのかもしれない。二回の世界大戦とその後の冷戦を経験した私達は、グローバリゼーションという夢を描いた。しかし、その"夢"が単なる夢であることが露呈するまでにあまり時間はかからなかった。ハンチントンによる文明の衝突というテーゼが9.11を予測したとされ影響力を持ち、アイデンティティーによって世界は分断されるという説明が主流化した。最もそれは、単に世界で起きている対立を説明するのに楽だったからと言うだけで、なぜ文明間による衝突が起きるのかを説明していないのだが。

テイラー・スウィフトをも魅了する煌びやかなポップネスーDisc Review:Haim / Something To Tell You

テイラー・スウィフトをも魅了する煌びやかなポップネス
Disc Review:Haim / Something To Tell You (2017)

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 Haimの名前を聴いたのは何年ぶりだろう。1stアルバム"Days Are Gone"のリリースが2013年だから……もう4年も前のことじゃないか……いやはや時が経つのが早すぎる。まさに"Days Are Gone"。ーーこれが言いたかっただけですごめんなさい。ということで今回はHaimの4年ぶりの新譜"Something To Tell You"を紹介。

夏に聴きたいインディーロックのアンセム10選

 

いやはや、夏ですね、皆さん。夏フェスですか?フジロック行く?ふーん。よかったね。私ですか?フジロックめちゃくちゃ行きたいですよ?そりゃあLCDとかめちゃくちゃ見たいですよ?行くのかって?行けねえんだそれが。そこで、夏フェス行かない皆さん、自宅で生霊派遣組の皆さん、我々は家でゆっくりとフェス動画でも見ようじゃないか!!家でフェスのほうが快適だもん!!いいもん!!と言うことで今日はフェスで聴きたいインディーロックのアンセム10選をご紹介。もうライブで聴いたら合唱間違いなしってやつですよ。ということで今回は動画もフェスの映像を引っ張ってきました。注:今回もうなんか色々と偏差値低めです。

『The Story of O.J.』から考える黒人の権利要求における多様性―Song Review : Jay Z / The Story of O.J.

『The Story of O.J.』から考える黒人の権利要求における多様性

Song Review : Jay Z / The Story of O.J. (2017)

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 さて、6月30日に突如ニューアルバムをリリースし、世界中のシーンの注目を攫ったJay Zの”4:44”。この作品は発売当初は”TIDAL”のみの配信であったため、ここ日本では聴くことができなかったが、7月7日、発売から待つことおよそ待つこと一週間、ついにApple Musicでも解禁され、現在では全曲聴けるように。そんなJay Zの新譜をめぐっては、世界中のリスナーがたくさんの考察を重ねているが、ここではそのアルバムの中でもミュージックビデオが印象的な、”The Story of O.J.”に注目しようと思う。(なんだか最近「である。」口調と「です。ます。」口調が統一しない…今回はである。口調。)

 

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